保護者向け

偏差値50の子には“英単語の暗記”で勉強の習慣をつけさせる

偏差値40の子が医学部に合格するための条件を紹介しました。
では、偏差値が50前後の子の場合はどうでしょうか。
48〜52の間、まさに平均値の生徒の場合です。

この子たちが医学部を目指した場合も、だいたい2年かかると思ってください。
ただ、トップクラスの進学校にいる子は別です。
そういう子の場合は、偏差値50でも1年あれば取り戻せる可能性が大です。
それだけの基礎学力とパワーを持っているからです。

そういう子を別にすると、平均的な子の場合は、まさに数字のままで教科書を半分程度しかマスターしていないわけです。
つまり、知識も半分しかない。
中高レベルの半分しか理解していないのです。  

こういう場合、どうすべきかというと、まず英語の単語力をつけさせます。
毎日英単語を暗記させるのです。
しかし、決して強制はしません。
強制するよりは、自らコミットさせるのが狙いです。

その子がどういう性格なのか。
内向きの子なのか、外で遊ぶタイプなのか。
怠け者か、しっかり屋さんか。
そこを見極めて、スタッフと相談しつつ、個々人の指導の方法論を考えていきます。
そうでなければうまくいきません。

偏差値50前後の人は2年必要だと言いました。
それも、ただ教えてもダメです。
先ほどと同じように、勉強する姿勢、習慣というものを作っていかなくてはなりません。
そうしないと、すぐにふらふらとどこかに行ってしまうのがオチです。
そこをなんとか話し合いながら、強制ではなく、矯正していくことが必要なのです。

もちろん、簡単ではありません。
机に縛り付けてみても、今度は寝てしまったり、ケータイをいじりだしたりするだけだからです。
そこを、なだめすかして、まずは英単語に没入させていく。
人によって、今日覚える数を決めます。
毎日10個とか5個とか。
それを1週間続けて、復習テストを行います。
さらに1カ月続けて今度は1カ月復習テストを行います。
これの繰り返しです。
それを相手の様子を見ながら続けます。

彼らの一番の問題は、根気のなさです。
我慢が利かない。
机に縛り付けてもすぐに鉛筆が動かなくなる。
集中力が続かない。
しかし、そこはうまく誘導しながら、そうした習慣を身につけさせます。

場合によっては許可をもらって、私やスタッフが、その子の家、部屋にまで行きます。
だいたい、そういう子の部屋は散らかり放題です。
片付けができないのです。
片付けができないと、一般的に時間の観念が損なわれます。
すると遅刻も多くなる。
そこは連鎖しています。
だから、時には生活習慣から面倒を見て、改善していくことも必要なのです。
 
さらに必要であれば、やはり自分やスタッフの家に連れてきて、一緒に生活します。
たとえば一週間、朝起こして予備校に登校するところから始めます。
そこでも繰り返しの根気が必要になります。
習慣がつけば、家に戻します。
そうした生活習慣がないと、勉強もできないものなのです。
ただ勉強だけをやらせようとしても、本人はストレスを感じたり、糠に釘状態になったりしてしまうので、そこを何とか突破しようとするわけです。

本来は、そこまで面倒を見なければいけないのです。
通り一遍の授業をしても、それは講師の、予備校の、そして親の自己満足にすぎないということがあまりに多いと言えます。

これに対して、もう少し成績のいいグループ、偏差値で言えば53から56くらい。
それ以上はまた別です。
60以上が射程距離ですから、方法が変わっていきます。
偏差値57から60くらいの間にいる子は、どこの予備校に替わっても、受かる可能性が高い生徒たちです。

しかし、ほんの少しの差のようで、その子たちと53から56の子は違います。

彼らは完全な怠け者ではありませんが、どっちつかずで、いまひとつパワーが足りない生徒たちです。
素直で伸び伸びとしていて、のんびり屋が多い。
そのため、うまく誘導すれば勉強にも乗ってきてくれるタイプなのです。

このグループの半数は、1年で合格する可能性を秘めています。
ただ、彼らこそ、放任してもダメ、強制してもダメなタイプです。
放任すれば、だらしなくなって、落ちていきます。
下手に強制すると、今度はノイローゼになったり、引きこもったりしてしまうかもしれません。

やはり一律の個別指導ではなくて、本気の個別指導が必要になります。
勉強指導、そして生活指導です。
スタッフと講師の二人三脚で生徒を誘導していきます。
スタッフのことは小馬鹿にする生徒も少なくないので、彼らが一目置いている一流講師にも手伝ってもらわないとうまくいきません。
「この先生が自分のことをここまで見てくれている」という感覚が必要なのです。
そうすることで生徒のモチベーションは上がります。

ただ、個別指導というのは、やるほうも生半可な気持ちではできません。
私たち自身が身を削って、自分の生活を犠牲にして、騙されて、裏切られて、怒って……。
それこそこちらの精神修行にもなるような話なのです。

ピックアップ記事

  1. 勉強以前に、“私生活を正す”ことが予備校の役割【後編】
  2. 私が生徒の保護者に求めること
  3. ハズレを引くリスクを減らすための予備校の選び方
  4. 12月は大学受験において、どのような時期か?
  5. 受験生タイプ別 精神状態&直前対策チェックテスト

関連記事

  1. 保護者向け

    ときに「ストレートで合格しないほうがその子のためになる」と思う理由

    あえて暴論を述べましょう。立場を忘れるのであれば、ストレートで…続きを読む

  2. 保護者向け

    医者である前に、“人”を育てる予備校を創りたい

    なぜ医学部専門の予備校を設立したのかと、よく聞かれます。私のやって…続きを読む

  3. 保護者向け

    私たちと両親がタッグを組むことが、医学部受験成功の条件

    偏差値40ほどの子は、中学から勉強をしていません。少なくとも真剣に…続きを読む

  4. 保護者向け

    勉強以前に、“私生活を正す”ことが予備校の役割【前編】

    勉強ができない。勉強をしていない。しているつもりでも、知識が身…続きを読む

  5. 保護者向け

    私が生徒の保護者に求めること

    私たちに対する生徒の態度を見れば、これまでどのように育てられてきたかが…続きを読む

ピックアップ記事

無料資料請求
PAGE TOP