保護者向け

母親の子離れが子供たちの成長を促す

母親は、「子供のすべてを許してしまう」という傾向が強いように思います。
そうした母親の特性こそが、過保護を生む原因です。
母親の愛情が強いということは、基本的には間違ったことではないでしょう。
しかし、過保護ですから、保護をしすぎるわけです。
それでは子供が健全に、たくましく育つことはできません。
 
第一に、お金による表現が多すぎます。
すぐに愛情をお金で表現してしまう。
ゴールドカードを持たせたり、言われるがままにお金を子供の口座に振り込んだりする。
月に何十万円という買い物をして、外車を乗り回している男子生徒も珍しくありません。
これから働くことを覚えてもらわなければいけない子供たちには、本来ならばお金のありがたみを教えるべきところですが、とてもそうした状況ではないわけです。
 
もちろん、お金のためだけに働くわけではありません。
働くことには、もっと深い意味があってしかるべきです。
医者であればなおさらです。
しかし、働くモチベーションとしては、やはりお金を稼ぐというスタンスも大事なのです。
そこがわからないと、働く意欲は半減してしまうかもしれないのです。
 
しかも、何でもお金で解決するという癖がついてしまう。
そうなれば、人生の機微や他人を思いやる心の重要性なども見失われてしまいます。
丁寧さや道徳観念も希薄になってしまうでしょう。
さらに、お金があれば遊びに行きたくもなります。
魅力的な人生をエンジョイできるわけですから、真剣に勉強をしようという意思も見失われがちになるのも無理がありません。
しかし、それでは困ります。
 
そうなってしまうのはなぜかと言うと、はっきりと言って、そうする母親も、お金の有難味がわかっていないからです。
旦那さんが稼いでくる。
お金に苦労したことがない。
たくさんあるのだから、「お前も使いなさい」と子供に渡してしまう。
自分で働いたことがないと、そういう価値観になってしまうこともあるわけです。
 
そこは、ぜひとも真剣に考え、改めてほしいと思っています。
 
何かトラブルがあった時に、「とにかく仕送りをストップしてください」と頼むことが多いのです。
 
それと気になるのが、子供に向かって、あるいは子供の前で、平気で父親の悪口を言って、下手をすると蔑むことが多いという点です。
そうして、裏側で自分を正当化して、何でもかんでも自分に相談させるように仕向けている。
その結果、母親にしか心を開かない。
開けばまだいいですが、甘えて嘘をつくという子が増えてしまうのです。
 
こんなケースがありました。
 
偏差値が53〜54で、昔バンドのボーカルをしていた男子学生です。
あまりに遅刻が多く生活がだらしないので、私と一緒に寮代わりにしているマンションに住まわせようとした子です。
 
少し頑張れば合格圏内に入れる子なのです。
だからこっちも必死に説得しました。
「本当に医者になりたいならば、俺の言う通りにしてみる気はないか?」と言いました。
 
学生とはいえ、年齢はもう28歳でした。ある程度分別もあるはずの年齢です。
「朝も起こしてやる。土日も起こす。必要ならば、授業後に無料で家庭教師もやってやる。何もかも面倒をみてやるからどうだ?」
と迫ったわけです。
こちらとしては出血大サービスです。
自分で言うのも何ですが、願ったり叶ったりの条件のはずなのです。
ところが彼は「考えてみます」と言って帰りました。
 
そして、その晩です。
その子の母親から電話がありました。
息子から電話があったというのです。

「そうですか。彼は何と言っていました?」と興味津々で質問をしました。
 
すると、あろうことか、「お母さん、先生と一緒に勉強したら、僕、頭が変になっちゃうよ」と言ったらしいのです。
朝から晩まで 1 週間ずっと勉強したら頭が変になるというわけです。
信じられませんでした。それまで母親が甘やかした結果です。

それでも、「それでどうなのでしょう。私と一緒に勉強しそうですか?」と聞くと、「はあ、一度言い出すと聞かない子ですから……」の一言。
せっかくぎりぎりの提案をしても、それで終わりです。
それでは私たちはどうすればいいのでしょうか?
いくら鍛えようと思っても、母親に守られてしまえばもちろん、手は出せません。
どうして、そこで突き放せないのでしょうか?
 
その子に聞いたことがあります。
「家にいたら、昼まで寝るんだろう?」「はい」
「昼飯はどうしている?」「全部作ってもらいます」
「どんなメニューなの?」と聞くと、ブランチに肉が出るし、パンケーキは出るし、もちろんサラダも出る。
とにかく豪勢なものなのです。
 
受験という緊張感はどこにもない。
母と子が受験勉強をしなければいけないことはわかっていても最後は、「可愛い、可愛い」と守ってしまう。
それでその子の可能性を潰してしまうことも少なくないのです。
その鳥かごから、子供を外に出すことを嫌がるのです。
 
長年教師をやってきて、そうした女性の愛情についてはよくわかっています。
たとえば教室に小鳥が舞い込んでくるとします。
子供ですから男女を問わず、しばらくの間は興奮して、その小鳥を構い、遊びます。
その後、「逃がしてやろう」と言うのは男子です。
女子はどうするのかというと、「飼おう」と言い出すのです。
可愛いものは囲おうとする。
自分の中に入れようとする。
それが女性の愛の形で、特に母親の愛の形なのです。
だから、母親自身が自立しなければ、立派な子供が育つこともないのです。

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