保護者向け

勉強以前に、“私生活を正す”ことが予備校の役割【後編】

前編でお伝えしたとおり、予備校の役割の一つは、学生を立派な医者に育て上げることです。

そのためにも、「脱線」と言いましたが、人生訓は重要だと思っています。
そうしたことから、モチベーションも生まれ、また高まるはずです。
 
こんなことを言うのも、残念ながら、本人が強い使命感や職業意識を持って、心から「医者になりたい。そのために頑張る」と思っている子供が決して多くないからです。
「親の希望だから」「家が医院だから」という、私に言わせれば消極的な理由が目立ちます。
仕舞いには、先ほど紹介した親の「医者くらいにしかなれない」的な発想も散見されるのです。
だからこそ、勉強をするベースとして集中力を発揮してもらうためにも、その部分を導くことも、私たちに課せられた使命だと思っているわけです。
 
だから、必然と小言も多くなります。
同じことを何度も何度も指摘します。
「ほら遅刻した!」「なぜ休んだ?」と。
さらに授業中も「ほら聞いてない!」「今、頭が泳いだ!」と、まるで小学校や中学校の授業のようです。
 
しかし、それをやるしかないのです。
特に偏差値40そこそこの子の場合は、いかに甘えから脱却させるか、そこが焦点なのです。
半分以上は私生活に関する小言です。
そこを改善していくしかない。
 
朝ちゃんと起きる。
朝食をしっかり食べる。
遅刻をしない。
夜更かしをしない。

そうした基本的なことが、できていない子供が多過ぎるからです。
 
午前中の授業には出てこない。
雨が降ったら来ない。
夜更かしをして、遊び歩く。
あるいは自室にこもってパソコンやフィギュア、漫画などに没頭する。
決して予習・復習などはしないわけです。

結局は、こうした生活態度が共通項で、元凶なのです。
 
だから、寮代わりのマンションでは、部屋の鍵は私たちも持ち、必要に応じて朝、起こしにも行きます。
もっとも、「ドアチェーンは掛けるな」と言っても、そうしない子も多いですので、外から大声を出して起こさなければいけないこともあります。
 
はっきり言って、これらのことの多くは親のせいです。
親がそうした生活習慣を許容してきたわけです。
あるいは過保護によって、怒るのではなく、頭をなで続け、本人の代わりに何でもやり、尻拭いもしてきたわけです。
 
そんな生活からは何の目的意識も生まれないと私は思います。
 
厳格で近寄りがたい父親と猫っ可愛がりで過保護な母親。
愛を感じない父親と愛情型でむしろ窮屈な母親。
子供は父親を怖がり、男性コンプレックスになり、母親に逃げ込み、怒りや欲求のはけ口にするものの、本当に信頼してはいない。
 
たとえば多いパターンとして、こういう男子学生がいるわけですが、そうした子供たちを見る度に、「またか」と悲しくなります。
この子をどうやって導こうかと、悩んでしまうのです。
 
もちろん、ある程度は母親は甘くていいと思うし、父親は厳格でいいと思います。
問題はその程度であり、またベースに信頼関係が築かれているか、なのです。
その信頼関係は「ベーシックトラスト」という言葉もありますが、乳幼児やそれに続く幼い頃に培われる基本的な信頼関係が大切です。
そこが築かれないままに強く厳格な態度に出ても、子供は逃げようとするだけなのです。
 
加えて、その厳格さのベースに、子供に対するやさしさ、愛情が見え隠れしているか。
それを根底に感じさせないままでの厳格さは子供には受け入れがたいものだと思います。
メリハリというか、厳格ななかにもやさしい言葉やスキンシップも必要だと思います。
それもなく厳格なだけだと、子供は真意を測れない。
尊敬や信頼がベースにあれば、その厳しさも自分のためだと理解できると思うのですが、その信頼がないために伝わらないことがほとんどです。
しかも、そうした家庭では、母親が子供に対して、父親を非難するということも間々あるようです。
子供に対して、父親に関する愚痴をくどくどと聞かせてしまう。
これがまた子供の心を惑わせるわけです。
 
それがすべてではありませんが、そうした自分たちの間違いに気づいてほしいのです。
そして改めてほしい。
しかし、実際にはそれは難しい。
子供が変わるよりも、親が変わるということのほうが数倍も難しいことです。

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