今回は、私が長きにわたって予備校生を見てきた経験から、特に受験直前期に心がけてほしい勉強習慣を2つ紹介します。
①間違いから学ぶこと
本番の試験では、当然、答えが合っていることが重要です。
たとえ過程はあやふやでも、鉛筆を転がしても、合っているほうがいいのです。
しかし、受験勉強はそうではありません。
しっかりと、問題に答える能力や知識を蓄えることが当然、重要と言えます。
間違うことも込みで受験勉強なのです。
だから、たとえば答えを間違えたらすぐに消してしまうという習慣も良いやり方ではありません。
今、間違えたことは良いことです。
むしろ、今間違えればいいのです。
ある問題を間違えることで、なぜ間違えたのか、どう間違ったのか、何を勘違いしたのか、あるいはその問題の意図がわからないならば、わからないということをしっかりと受け止め、反芻し、そこで学ぶことが大切なわけです。
いつだって、失敗は成功のもと。
その通りです。
ところが学生は、間違えたことをすぐにリセットしようともがきます。
これは、受験勉強や試験だけの話ではありません。
あなたはいかがでしょうか。
間違った結果は消してしまえ、とばかりに消しゴムを頻繁に使う。
また、ノートをキレイに書きすぎて時間を無駄にしていたり、逆に何を書いているのかわからないくらいバラバラに書いてあったり……そういう学生の成績は決して伸びません。
今はデジタルの時代ですから、消したりやり直したり、リセットしたりするのが当たり前です。
この結果、何が起こるでしょうか。
試行錯誤が否定されます。
アイデアフラッシュも否定されます。
全体像を見る能力も伸びません。
間違いを反芻することはとても大切なのです。
どこで間違えたのか。
逆に言えば、どこは間違えていないのか。
あるいは、なぜそう間違えたのか。
間違えた解答からは、多くの知恵が生まれるものなのです。
②手をかけて覚えること
パソコンやスマホを多用すれば、辞書も引かなくなります。
楽をすることを覚えると、大事なことを覚えないようになるものです。
だから私の経営する予備校では、授業中に辞書を引かせることがあります。
その癖も大切だからです。
若いうちに怠ければ、怠けるだけ敗者になると思ってください。
暗記の方法を間違えている受験生は多いのです。
たとえばソファに腰を下ろして、何かペーパーを見ている。
だんだんと体勢が崩れて、寝そべりに近い状態になっていく。
何を見ているのか聞くと、「単語を暗記している」との回答。
つまり面倒くさがって、声も出さず、書きもしないわけです。
これでは物を覚えることなど、到底無理でしょう。
何も頭に入らないまま、時間を無駄にしてしまいます。
こういう生徒ほど、成績は良くありません。
なぜでしょうか。
まずは、モノの見方が近視眼的になるからです。
さらに、生理学的な問題もあります。
というのも、ヒトの記憶は側頭葉が司っています。
この側頭葉というところは、実は聴覚と連結しているのです。
そのため、耳から入らないモノに対しては、どうしても反応がにぶくなるというわけです。
ではどうすればよいのでしょうか。
声に出して読むのです。
耳から問題を聞かせるのです。
そうすれば早く覚えることもできるのです。
さらに自分の手で書く。
そうすれば記憶が強化されます。
確かに、試験中や授業中などに声に出して読むことはできないでしょうが、独学の時は、ぜひそうしてください。
今からでも、これは効果的な方法です。
要は、楽をしてはいけないのです。
面倒くさいと思わずに、良い習慣を身につける。
このことは、今回の受験だけでなく、その後の人生にとっても重要なことです。