予備校の選び方

動画・映像授業を使って医学部受験

昨今、動画での授業の需要が増えていますが受験最難関である医学部に合格するためには動画授業で合格を狙えるのか現実的に考えてみます。

まず合格できるのかできないのかですが、合格する事は可能だと思います。しかし、実際の合格力をつけるためには不安があると言わざるを得ません。

最近では、動画のラインナップも充実しており一通りの分野の学習は可能です。まず勉強の最初のステップとして、速い速度での一通りの学習と基礎の穴を埋めるための部分的学習という点では効果は十分にあると思います。

この時点での問題としては、使い方の工夫が非常に大切であるという点です。日頃から、「頭がいい」「要領がいい」と言われるようなタイプの生徒さんは上手く使いこなしていく事ができるでしょう。反対に、「要領が悪い」「どんくさい」などと言われる場合には、動画では上手く質問ができなかったり、噛み砕いて説明はしてくれないため、逆に時間がかかってしまう可能性があります。

自分がどういったタイプかで、動画を使うかどうかはよく検討しましょう。ちなみに、どういったタイプの生徒さんの場合でも補助教材としてわからなかった部分を補足的に使う分にはとても有用であると思います。

動画や映像の最大の問題点は、その後にあります。実際にある程度の学力が伴ってくると、いったい何が問題でどのように学習すべきなのかという点が非常に不鮮明になってきます。

基本的に、学習の指針は自分で立てなくてはいけないという部分がネックとなります。ある程度の成績で合格できる大学であれば、何とかなりますが最難関と言われる医学部となってくると話は別です。さらに短い期間で結果を出さなくてはいけない生徒さんが大半です。

TMPSのコーチングの中で、出てきた一例をお話しします。

A君は、勉強時間の割に現役から数学の成績がいまいち伸びていない。という課題を持っていました。彼は、非常にまじめな性格で現役でもかなりの時間勉強をして来ました。勉強の姿勢は◎です。また一通りの分野を解かせてみても、それ程抜けてしまっている分野もなく、しっかりと覚えている印象でした。

では、どの点で成績が伸びなかったのでしょうか。後に彼は、実際に時間を計って問題を解いたときに(プレッシャーがかかると)融合問題の移り変わりについていけなくなってしまうという事が明らかになりました。

端的に言うと、解きなれていない。という事です。後で、落ち着いて考えれば解ける問題がほとんどでした。彼の中では、この間違いは「勘違いや単純ミス」として扱われていました。

つまり、本人が想像している以上にある一定のプレッシャー下での融合問題の演習をしなくては行けない状況でした。その後、1か月間を短い時間を計りながら融合問題を解き、なぜ間違えたのかを丁寧に分類させた結果見事に数学の偏差値が模試で15上昇しました。

このケースで言うと、動画を使って自分だけで考えていても解決はしなかったと思います。仮にしたとしても、かなりの時間がかかっていたでしょう。

動画は、とても有用なツールですが何が原因でできないのか、自分にはどのような弱点があるのか等は、自分自身で考えなくてはいけません。基礎や標準レベルで具体的に抜けがわかるうちは良いですが、だんだんと何がいけないのかがわからなくなって来てしまったときは、むやみに勉強を続けるのではなく第三者に的確なアドバイスをもらうことが効率的な学習です。

日頃から、工夫することを意識し効率を求めるような姿勢があれば使いこなすこともできると思いますが、そういった生徒さんはそもそも動画うんぬんではなく、問題集であろうが何であろうが合格できてしまう事が多いのが現実です。

もし、動画や映像頼みで「医学部受験をしよう」と考えているとすればその考え自体が要注意です。医学部受験で使うなら、速習やピンポイントで穴を埋める対策用に。基礎習得・弱点の穴埋めが終わったら、信頼できる先生にその後の細かい指導を仰ぎ、今後の学習マネージメントをしてもらうことが一番の近道であると言えます。

医学部受験予備校 TMPS医学館 慈性 幸佑

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