私立の医学部に入学するには莫大な費用がかかることは、皆さんご存じの通りでしょう。
とはいえ、「お金がありさえすれば簡単だ」というわけではありません。
あくまでも「国立医学部に比べれば入りやすい」というだけなのです。
偏差値から見ても、全然楽ではありません。
一般の大学で言えば、早大の理工学部や東工大に入学できるだけの学力が必要になります。
金沢医科大学や埼玉医科大学のラインがそれです。
私立大学でも偏差値は65以上が必要なのです。
慶應義塾大学の場合は75です。
国公立大学の場合は最低70、欲を言えば75が欲しいところです。
東京大学の場合は80を超えます。
国立の医学部となると、進学校でも上位数%の中にいる子でなければかなり厳しいという状況であるわけです。
それを偏差値40程度で、「金は出すから1年で合格させてくれ」などと言われても、それは無理なのです。
予備校生の多くは偏差値40以下
偏差値の話をもう少し続けますと、私たちにとって、偏差値60の子供を70にすることはそれほど難しくありません。
用意のできている子を、臨戦態勢にして勝つ確率を高めるだけで済むからです。
しかし、短期間で偏差値40の子を60にするのは至難の業です。
下地ができていない、それこそ賢くなる用意ができていないからです。
その土台づくりだけでも一年はかかります。
1年で偏差値40の子を医学部合格に導くことは簡単ではないのです。
ところが、そうした生徒たちが、今、予備校にはあふれています。
その生徒たちに必要なのは、受験勉強の前に、中高6年間の基本を徹底することに加え、精神的な修行です。
学ぶ姿勢がなければ、いくら教えても身につかないからです。
しかも、偏差値40以下の子供の1割から2割は何らかの原因で引きこもったりしています。
そうした子供たちの面倒を見ることも、私たち予備校の役割だと考えています。
普通の医学部専門予備校、特に大手予備校は、そんなヘビーなことは絶対にしません。
お金さえ払ってくれれば何年でも在籍してくれていいのですから、それは予備校側から言えば決して悪いことではないわけです。
つまり、見て見ぬふりをしているのです。
では、授業の内容に関して大手予備校が優秀かというと、そうでもありません。
予備校の基本は教科書と参考書に書かれていることを教えることです。
それで最後にちょろちょろと直前対策なるものを行って、「さあ、行ってらっしゃい!」と送り出すだけです。
それでいて、多額のお金を請求するのです。
そうした現実を、裏の事情を、何を信じ、どう行動すべきかを知っていただきたいと思います。