医学部への合格は、どの大学であれ非常に難関であり、たとえ頭の回転が速く、勉強をする習慣が身についている学生であっても、手を抜いてしまっては決して達成することのできない目標です。
少しでも甘く見たり、気が抜けてしまったりすれば、合格という悲願はするするとその手から抜け落ちてしまいます。
多年浪人(多浪)も非常に多いのが、医学部受験の特徴です。
だから、「今年は仕方がない」と本人も親も思いがちなのですが、では、「仕方がない」今年を無駄にしないためにはどう過ごすべきか、どう挑戦すべきかということを考えなければいけません。
そうでなければ、「今年だけでなく来年も再来年も仕方がない」という結果にすらなってしまいかねないのです。
私たちが入学してきた学生を見る場合、まず偏差値を見るのは当然です。
それだけですむわけではないのですが、偏差値が大きな基準、目安であることは間違いありません。
では、平均するとどのような偏差値の子が多いのでしょうか。
ここで、分布を確認しておきましょう。
入学時に、1年間で合格する可能性が高いのは偏差値が60を超えている学生です。
ここで間違えて欲しくないのが、60ならば安泰という意味ではないということです。
本音を言わせていただければ、最低このくらいは最初にないとかなり厳しいのです。
では、このランクの学生が全体のどのくらいいるかというと、せいぜい6〜7%です。
次が偏差値55〜60の学生。
もちろん、放っておいては受かりません。
しかし頑張れば、1年で受かる可能性がある範囲です。
この範囲の子も、実は全体のせいぜい10%程度しかいません。
つまり、全体の16〜17%、多く見積もっても20%程度しか、1年で医学部に合格する可能性は薄いということです。
なかには偏差値がこれ以下でも、驚異的な伸びを見せて1年で受かる学生はいます。
しかし、そのような例は決して多くはありません。
では、その他はどういう分布でしょうか。
50前後、いわゆる「普通の学生」が5割ほどを占めます。
そして偏差値45前後からそれ以下の学生も、3割ほどはいるのです。
もっともこれは、きっちりとした統計的な数字ではなく、感覚値です。
しかし、この数字、大まかに言って2割(55以上):5割(50前後):3割(45前後、さらにそれ以下)という比率は、ほぼ毎年、そして、ほぼすべての予備校の抱える学生の偏差値分布の偽らざる実態なのです。
つまり、1年で医学部に合格できる数は受講生の2割がいいところ。
そうであるにもかかわらず、どの予備校も軒並み8割以上や100%の合格率を謳うところも少なくありません。
これはあり得ない話なのです。
これは数字のマジックとしか言いようがありません。
たとえば15人の学生がいて、そのうちの優秀な3人がそれぞれ5校ずつ受かって、全部で15 校合格でも100%なのです。
騙されてはいけません。