TMPS医学館数学科の新国(にっくに)です。
数学だけの話ではありませんが、勉強法の話では、よく、暗記が大事だ、とか、理解が大事だ、という話が出てきます。数学だと、公式や問題パターンを憶えたりしますし、それは丸暗記ではいけませんので、理解も当然しなければなりません。過去問をやったりもしますね。やることは、様々あります。
「数学の勉強は何をやるのがよいですか?」という質問は、しょっちゅうきて、その都度「暗記しましょう。」「理解しましょう。」という話はしますが、肝心なことは、実はそこではないんです。「暗記しましょう。」なんてことは、誰でもわかる話ですので、それは当然やるもので、じゃあその上で、大事な視点を1つお伝えすると、「バランス」です。
パーツだけ考えてもダメ。
勉強法の話を聞くと、大体の話は、1つ1つのパーツの話になります。暗記をどうやるのがよいか?というような、個々の視点になります。そして、個の視点に入り込んでいくと、その後どういう結末になるのか、というと、暗記をやっていたら、途中で、暗記だけでいいのかな?という疑問が出てきます。暗記だけではダメで、問題もちゃんと解かなきゃ、とか、過去問をやらなきゃ、というように、他に意識が移り変わっていきます。
そのために、普通の勉強法では、まず公式を憶えて、理解して、過去問を解いていく、というようなSTEPがあります。これをやったら、次はこれをやる、と。しかし、私が言いたい話は、そこではありません。STEPがあるのも当然の話ですが、問題なのは、そのことも医学部受験生は知っていますが、その上でも、勉強で上手くいかなくなるのです。
ですので、医学部受験生がどこでショートするのか、という視点で私は言っていまして、それで、1段上げた「バランス」という視点を持ち出しているのです。
言ってみれば、栄養のバランスのようなものです。肉を食べろ、野菜を食べろ、とは言いますが、肉ばかり食べてしまってはよくない場合が出てきます。バランスが大事だ、という話になりますよね。食べ物では「栄養バランス」という言葉があるように、割とその考え方は普及していますが、「受験勉強の栄養バランス」というのは、多くの人は考えてないのです。
様々なケースがありますが、一例を上げますと、例えば、数学で、数学苦手だから、と、微積やベクトルを一生懸命勉強するとします。それは別に何の問題もありません。やればいいだけの話です。しかし、そこで大事なことは、今その受験生は、微積やベクトルを集中的にやっている、ということは、その時、「今何をやってないか?」という視点を忘れているのです。
その時、例えば、「確率」や「データ分析」という視点はいかがでしょう。頭が微積モードになっていて、確率とかは、意識が向いてないので、感覚も含めてどこかに消えそうになっていくのです。場合によっては、実際に消えます。
今の例は、微積、ベクトル⇆他、というバランスの話でした。
それは、例えば、基礎知識⇆過去問というバランスの視点にもなります。「基礎をやりなさい!」と言って基礎をやると、「あれっ、基礎だけでいいの?」という視点を忘れます。過去問を特にやっている人は、「あれっ、基礎が抜けていた」ということを忘れまして、ココが特に事故が発生しているPOINTでもありまして、私は授業などではそこを気づいてもらう指導をすることが割とあります。
「バランス」をマネジメントする。
それを私が言わないと、多くの人は、そんなことはわかっているよ、と思い込んでいて、実際は気づいてないまま勉強していることになるので、まず第一歩は、そこに気づくことが必要です。それでそこをマネジメントします。
知識というのは、頭に入れながら同時に抜けていくものなので、それを当然そういうものだ、という理解をした上で、バランスをとっていくことが必要です。
実際に自分でやるのはなかなか難しいものです。 そういうことは、学校も予備校もほとんど言ってくれないことなのですが、実際は、医学部合格の勉強法としては、そこがかなり肝心な部分であり、そこをやらないと、かなり的外れの勉強になる、と思ってみると一つの突破口が見つかるかと思います。
私はそうやって、よく医学部受験生の「バランス」を見ますが、他にも医学部合格の勉強で大事なことは、ネット情報とかにないような、かゆい部分です。普通のことも大事ですが、肝心なツボの部分がわかると、もっと伸ばせるよ、ということです。
なぜ「バランス」が大事なのか?=「真ん中」が大事という賢人の思想
ちなみに、なぜ「バランス」が大事なのでしょうか?私の場合、中国の易経や仏教思想や哲学などをベースに考えることが多いですが、それらに出てくる賢人は、中国だろうと、インドだろうと、ギリシャだろうと、物事の根本で大事な部分は、「真ん中」「バランス」だ、ということを知っていたからです。「単語だ!」「公式だ!」というの「だけ」言っているのは、バランスが偏る「だけ」になるのです。
バランスを調整しなければならない時があるのです。そういう「真理」をベースにした視点も持ち、受験勉強をしていくことが、人間としてこの宇宙の中で合理的な行動ができる、ということになります。
医学部コーチング・メールマガジン No.1618 より転載