保護者向け

勉強以前に、“私生活を正す”ことが予備校の役割【前編】

勉強ができない。
勉強をしていない。
しているつもりでも、知識が身についていかない。
集中力がない。
真剣になれない……。
 
これらが、多くの問題児が抱える共通点です。
偏差値が上がらない理由です。
では、なぜこういう状況から抜け出せないのでしょうか。

その理由は、頭の回転の速い遅いでも、勉強そのものの仕方の善し悪しでもありません。
繰り返しますが、そこまで積み重ねてきてしまった私生活。
生活習慣の問題なのです。
そのベースにあるのが良好とは言えない親子関係です。
それが子供の性格を歪ませていると言ってもいいかもしれません。
 
誰にでも怠惰な一面があります。
嫌、それ以上に多くの人間は怠惰を好みます。
知的好奇心も真面目な気持ちも持っていますが、その半面、楽をしたいという気持ちは決して少なくありません。
皆さんもおわかりになると思いますが、受験勉強のようにがむしゃらに勉強する。
それこそ寝食を忘れて暗記に没頭するといった経験は、日常ではないわけです。
特別な時間ですから、生活習慣もそこに向けた助走や積み重ねが必要になります。
 
また、そうした習慣を積み上げていくためには、当然ながら、本人にそれなりの覚悟と問題意識、つまりは強いやる気が必要になります。
 
ところが残念ながら、予備校に来る学生の多くは、そうした準備ができていないのです。
勉強する土台ができていないままに、スパルタな勉強を始めても、多くの学生は受け入れられません。
勉強したことが身につかないばかりか、その時間が苦痛に思えるので、その場にいても別のことを考えてしまう。
あるいは学校に行きたくなくなるということにもなっていくわけです。
教えている講師にとっても、本人にとっても、またお金を出している親にとっても、極めて残念な状況であるわけです。
 
しかし、ほとんどの予備校は、その状況の改善には踏み込みません。
無駄や歩留まりの悪さを無視して、ノルマであるカリキュラムを進めてしまうわけです。
そして、落ちこぼれは放っておく。
諦めるということになるわけです。
 
私にはそれができません。
一人ひとりの学生を導くと決めた以上、いわゆる勉強だけでなく、そのベースとなるべき生活習慣の改善にも必死に取り組んでしまいます。
職員や講師の先生方にも、そのことをお願いしています。
 
職員は学生から目を離しません。
監視ではありませんが、様子をうかがって危険信号を発見するように教育しています。
発見だけでなく、必死に子供たちを導こうとしている職員も少なくありません。
だから、生徒の数を増やすことはできません。
皆、常にぎりぎりの限界を感じて働いています。
 
講師の先生方にも、勉強だけでなく、脱線は大いに結構だから、人生訓も含めて子供たちに教えてほしいとお願いしています。
授業においては無駄とも思える脱線は、学生の多くから実際に「時間の無駄だ」と好まれません。
しかし、それを必要としている学生も多いのです。
ましてや私たちが導こうとしているのは医者です。
ただ頭がいい、知識がある、技術があるという以前に、使命感や倫理観、気配りや自己犠牲の精神など、崇高な精神と職業意識が求められる職業です。
予備校は精神修業の場であるわけではありませんが、そうしたことも身につけた立派な医者を一人でも多く育てていく手助けをしたいのです。

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