ひとつ、事例を紹介します。
体育会系の青年で、4月の入塾当時は極めて成績が悪い生徒でした。
ガリ勉とは程遠いタイプです。
彼は受験生活を送りながらも、恋人をつくってプライベートも充実させていて、秋口までさほど勉強をしていませんでした。
そんな彼は、トップクラスの学生と普通の学生の違いのコラムで紹介した成績優秀な多浪生の学生を差し置いて、志望校に一発合格していきました。
特筆すべきは、その素直さと、集中力です。
前述のように、彼は受験直前まで、はたから見ればほとんど努力をしていないように見えました。
しかし直前に至るまでにしっかりと授業を受け、ノートをつくり、基礎を固めていました。
さらにその後、私のアドバイスを素直に受け入れ、一念発起して直前1カ月の学習スケジュールをつくり、守りました。
かなりキツい工程にもかかわらず、集中してきちんとやり通したのです。
具体的には、各教科の参考書・問題集かテキストを、各1冊網羅しました。
勉強についていえば、あとはほとんど何もしなかったといっても過言ではありません。
あえてその他の項目を挙げれば、受験のための生活習慣を徹底的に見直していました。
私のアドバイスを受け入れ、彼は直前期のコンディションをしっかりと自己管理して、学習効果を高めたのです。
以上が、彼が医学部一発合格を成し遂げた経緯です。
彼の事例は、直前対策によっては医学部一発合格を確かなものにできるということを証明しています。
基礎を徹底して固め、本番へ向けて、モチベーションとコンディションを管理することが肝心です。
本書で紹介する本番直前1カ月の勉強法のポイントは、そこにあります。
7割や8割の学習修得率を、9割5分にする。
長い下積みの放物線があって、急カーブで競り上がっていく。
その最後の、伸びしろが非常に大きい1カ月において、正しいやり方で、合格のための努力をする――。
直前の1カ月、私を信じて、ついてきてください。
徹底的にやり抜けば、志望校の合格通知は確実に君のものとなります。
1カ月集中勉強をやり抜けば、医学部一発合格は可能
勉強法やマインド・生活習慣のコラムでは、最後の1カ月で集中して基礎力を高め、基本・中級の問題の正答率を100%に近づけることで、医学部に逆転合格する方法を伝授しています。
1カ月で医学部一発合格できる、魔法のスケジュールのように1カ月を過ごせれば、実際、医学部に合格する可能性は大きく高まります。
これまで思ったように成績が上がっていなかった受験生も、逆に、これまで思い通りの勉強ができて、自信を深めている受験生も、浪人であっても、現役であっても、やるべきことはひとつ。
「原点に戻り、基本を徹底しろ」ということなのです。
大切なのは、脇目も振らず、スケジュールを崩さずに勉強すること。
これまでとは違う、非日常の1カ月を過ごす。
その根気とやる気、集中力と胆力が必要です。
とはいえ、たかだか1カ月です。
人生の中で、このくらい頑張れなければダメでしょう。
とにかく集中してください。
難しいことは考えなくていい。
基本的には新たな知識は必要ないのです。
これまで自分が勉強してきたことを、完璧に身につければそれでいいのです。
ブレないこと。
疑わないこと。
迷わないこと。
それが大切です。
そこが、人間としての胆力の問われるところです。